年齢と共に減っていく女性ホルモンを、ホルモンの薬で直接補うことで更年期の症状を抑えようとする方法が、「ホルモン補充療法(HRT)」です。
一方、いろいろな症状を取り除きながらホルモンが減っていく状態に体を慣らしていき、体調を整えていくことを目標とする方法が、「漢方薬治療」なのです。

治療開始前のご注意
漢方薬の利点と注意点

更年期障害では、のぼせ・発汗などの他に、人それぞれに特有の症状<不定主訴(不眠・不安・うつ状態・頭痛・肩こり・胃部不快感・知覚・味覚異常)>が起こりやすくなります。西洋薬の場合、これらの症状一つ一つに対して薬を処方します。このケースでは処方量が増えてしまい、苦痛を感じる方も少なくありません。

それに対し、漢方薬の場合は、いくつもの生薬を調合しておりますので、投与する薬は1~2種類で済みます。ただし、西洋薬と比較すると、効き目の点では遅く、無理をせず、焦らずに体調を整えていくことが大切です。治療開始から1~2ヶ月までの間で、症状がひどい場合には、主治医に相談の上、西洋薬と組み合わせて服用する方がよいでしょう。

また、においに慣れないために服用を止めてしまったり、食間服用なのでつい忘れがちになり、なかなか成果につながらない場合もあるようです。
この対策としては、オブラートに包んだ上で服用したり、漢方薬を飲み忘れてしまっても食後に必ず服用することがポイントとなります。

漢方薬をおすすめする方
乳癌や乳腺症・血栓症などの既往があり、ホルモン薬を服用できない人や医師から服用を控えるよう指導された人
複数の不定主訴に悩まされていて、西洋薬では、多くの薬を服用しなければならない人
はじめから不定主訴をホルモン療法にて治療することに抵抗がある人
薬の飲み方について

漢方薬は、自然由来の薬として体にやさしいと言われておりますが、全く副作用がないとは限りません。どんな治療に関しても言えることですが、早く完治したいから一度にたくさんの薬を服用したりすると、何らかの副作用が起きる可能性があります。

決められた量を、使用上の注意に従い服用することが一番重要です。